＝　コレステロールの高い方へ　＝

　コレステロールは、主に肝臓で作られ、細胞を構成する成分として使用されます。生体にとって大切な要素ですが、あまりコレステロールが多過ぎると動脈硬化の原因になり、心臓や脳に障害をおこします。
　コレステロールの中でも、コレステロール分を多く含んで比重の小さい悪玉コレステロールと言われているＬＤＬが血液中に多い程動脈の粥状硬化は進展します。逆に蛋白質が多く、比重が大きい善玉コレステロールと言われるＨＤＬが血液中に多い程粥上硬化が抑えられます。
　脂質の検査項目ではコレステロール（ＨＤＬ、ＬＤＬ）の他に、中性脂肪（ＴＧ：トリグリセライド）、リン脂質（ＰＬ）、リポ淡白、遊離脂肪酸（ＦＦＡ）があります。特に中性脂肪（ＴＧ）は、食品から糖質として摂取し、体内の脂肪に変わる物質です。脂肪分の中では食品中もっとも多く、コレステロールの約２００倍も存在します。
　血清の脂質が増えると、動脈硬化（血液の流れが悪くなり、血管自体が脆くなる状態）が促進されます。心臓病や脳梗塞などの病気の引き金となると言われています。
　薬を服用する前にまず考えなければならないのは食事療法と運動療法だと言えます。薬を服用する事でコレステロールや中性脂肪をたとえ下げたとしても、食生活を含む生活習慣を改善しないと薬を服用する意味がなくなってしまいます。食事療法や運動療法を行なっても尚かつ血清脂質（コレステロールや中性脂肪）が高い値を示す時には薬物療法が行なわれます。薬物療法の判断は医師が行ないますが、血清コレステロール値２２０（ミリグラム／デシリットル）以上が治療対象となると言われています。高脂血症にはいろいろなタイプがあります。従ってそれに合わせて治療薬が選択されることになります。

◎薬物療法　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　主として使用される抗高脂血症薬にはコレステロール低下薬としてシンレスタール＝ロレルコ（プロブコール製剤）とメバロチン、リポバスなどのＨＭＧ‐ＣｏＡ還元酵素阻害薬があります。
　中性脂肪低下薬にはアモトリールやべザトールなどのフイブラート製剤やコレキサミンやペリシットなどのニコチン酸製剤があります。いずれも、長期間服用するものです。
　尚、他の疾患が原因となる二次性高脂血症の場合には、基礎疾患の治療が優先されます。高コレステロール血症に対して、ＨＭＧ‐ＣｏＡ還元酵素阻害薬（メバロチン、リポバス、ローコール、バイコール＝セルタ（最近発売））の効果が確実で一般に広く用いられつつあります。