検索

トップ

タイトル 花粉症の薬 
コメント

 

= 花粉症の薬について =
 春先になると、鼻がムズムズして」となり、くしゃみ、鼻水、目の痒みや涙目になった経験はありませんか。鼻風邪を引いたと思っていた方が実は花粉症であったと言う事も珍しくありません。
 自宅で猫を飼っている方で、猫があちこち動き回ると同時に、くしゃみが始まってしょうがないと言った方、こう言ったアレルギー性の鼻炎の原因はアレルゲン(アレルギーを引き起こす抗原)なのです。
 花粉症はアレルギーの中でもⅠ型アレルギー(即時型)に属し、アレルゲンとなる花粉が、既に形成されていた抗体と結びつき、鼻や喉、眼等の粘膜に存在する肥満細胞を刺激し、主にヒスタミンと言う物質や各種化学伝達物質が遊離さて生じるものです。(詳しくは図を御覧下さい)このヒスタミンと言う刺激性の物質が、毛細血管を拡張したり浮腫を引き起こしたり、浸出液を増やしたりと炎症症状を起こし、アレルギー性鼻炎の引き金になる張本人なのです。 
 ヒスタミン以上に強力な作用の各種伝達物質等が解明されつつありますが、現時点では不明な点の多い様です。


 次に花粉症の治療で利用される薬剤についてです。
《 分類 》
①抗アレルギー薬
②抗ヒスタミン薬
③ステロイド薬
④自律神経作用薬
⑤その他 漢方薬

① 抗アレルギー薬・・・・・・・近年この種の薬の開発は盛んで有ります。抗ヒスタミン作用のあるものとないものとが有り、殆どの薬が、肥満細胞からの化学伝達物質の遊離を抑制する薬(医療用のニポラジン、サジテン、アゼプチン、セルテクト、ソルファ、ロメット、タザレスト、アレギサール)とH1拮抗約(医療用のニポラジン、トリルダン、アレジオン、レミカット)とがあり、この分類に入らない医療用のベガと言う薬があります。この薬はトロンボキサンA2の合成酵素阻害薬に分類されます。
 抗アレルギー薬は即効性が期待される薬ではなく、効果が現れるには最低2週間程度の服用が必要となります。抗アレルギー薬の副作用については、抗ヒスタミン作用を有する薬の眠気、口乾の他、皮疹、肝機能障害、まれに膀胱炎様症状、錐体外路症状、不整脈の出現等が上げられますが、特定の薬(抗真菌薬、マクロライド系抗生物質)との併用による重篤な副作用以外、今のところ判明していません。

 

② 抗ヒスタミン薬・・・・・・・先程述べたⅠ型アレルギー反応の主要な化学伝達物質であるヒスタミンの遊離を抑える薬です。抗コリン作用や中枢抑制作用があり、副作用として口乾や眠気等が特徴です。鼻汁を止める効果は①の抗アレルギー薬に比べると可也強い効果があります。医療用の薬として、ポララミン、ニポラジン、セレスタミン(ステロイド配合)等があります


③ステロイド薬・・・・・・・鼻炎用の噴霧する剤形で、医療用としシナクリン、フルナーゼ、ベコナーゼ、アルデシン等が使用されています。ステロイドの強力な炎症作用を抑える効果に基づいて、注射、内服薬のステロイド薬の全身的な副作用の軽減目的で局所作用薬として利用されています。

④ 自律神経作用薬・・・・・・・副交感神経を抑制し鼻汁分泌を抑制します。アトロベント、フルブロン等の局所作用の噴霧剤形が利用されています。

⑤ その他漢方薬・・・・・・・漢方薬は服用する方の「証」(体質)に合わせて利用されて初めて効果を発揮します。夏場に良く冷たい物を取ったり、冷え性の方には水の代謝を良くしたりする漢方薬や冷えを改善する漢方薬が利用され、アレルギー体質が改善される事が多いです。鼻炎の方で、漢方薬を用い70%以上の効果があったとも言われています。又3ヶ月以上服用する事で翌年の花粉アレルギーを随分と楽にする報告も多くあります。西洋医学の場合は対症療法が主となりますが、漢方薬の場合は体に合えば根治療法も可能となる様です。

 

= 花粉症の薬 =

 花粉症や鼻アレルギーの治療ではアレルギー反応が生じるのを予防(症状が出ない様にしたり、例え出たとしても症状が軽くすむ)する為の薬とくしゃみや鼻水、涙目等の症状を抑える為の薬があります。これらの薬は花粉症を根本的に治す薬ではありません。根本的に治すには特異的免疫療法等が必要です。詳しくは家庭医学書を参考にされて下さい。
 医療機関で処方される医療用の薬を分解すると主に次の5つになります。

①抗ヒスタミン薬:アレルギー反応を引き起こす刺激物質の一つであるヒスタミンの作用を抑える薬です。副作用として眠気の生じ易いものから比較的眠気のこない薬迄あります。医療用の薬としてポララミン、タベジール、ゼスラン(ニポラジン)、ペリアクチン、作用の強いステロイド剤を配合したセレスタミン等があります。 服用方法としては例えば朝・夕食後又は寝る前に定期的に服用する方法もあれば症状の出た時だけに頓服的に服用する場合もあります。眠気や喉の渇きが出易い方には昼間の服用は難しいので寝る前に1回だけ処方される事があります。抗ヒスタミン薬アルコールと一緒に服用すると薬の効果が強く現れる事がありますので避けられた方が宜しいでしょう。又緑内障や前立腺肥大症で排尿障害のある方は原則として服用する事は出来ませんので注意して下さい。


②抗アレルギー剤:抗アレルギー薬はヒスタミンやロイコトリエンと言った化学伝達物質が体内に出来るのを抑える薬です。
①の抗ヒスタミン薬には比べ効果が現れる迄に時間がかかりますので、直ぐに症状を抑える事は出来ません。予め服用する事によって症状を抑えたり軽くする予防的な薬と言えます。花粉の飛び交う2週間前から服用し始めた花粉の季節が終了する迄服用し続けます。
 多少詳しい説明になりますが、抗アレルギー薬には、抗ヒスタミン作用のある塩基性アレルギー薬と抗ヒスタミン作用のない酸性抗アレルギー薬とがあります。前者の塩基性の薬には、商品名として、アゼプチン、セルテクト、トリルダン、レミカット(ダレン)、ザジデン、アレジオン、エバステル、ヒスマナール等の医療用の薬があり、酸性抗アレルギー薬としてリザベン、アレギサール(ペミラストン)、ソルファー等があります。塩基性の薬には酸性の薬に比べて効果が早く現れる傾向にあります。①の抗ヒスタミン薬より眠気が少ないとは言っても人によっては眠気が生じる事がありますので車の運転や危険な作業の時には十分注意下さい。内服薬意外に局所的に使用する点鼻薬があります。市販の点鼻薬の様な即効性はありませんが血管収縮薬が配合されていませんの長期に渡って使用されても安心出来ます。
 抗アレルギー薬と抗生物質(マクロライド系)や抗真菌薬を一緒に服用したりすると不整脈が出易くなり重篤な副作用となる場合があります。又心臓病のある方等にも副作用が出易いと報告されています。注意しなくてはいけない抗アレルギー薬とそうでない抗アレルギー薬とがあります。よく説明を聞かれて服用されて下さい。


③ステロイド薬:強力にアレルギー症状を抑える薬です。症状が重い場合に使用されます。通常花粉症や鼻アレルギーの場合には、ステロイド点鼻薬が用いられます。ステロイドの内服薬に比べ、点鼻薬の副作用は少なく、長期間に渡って使用出来ます。商品名としてフルナーゼ、ベコナーゼ(アルデシン)等の医療用の薬があります。効果が現れるには2~3日必要とします。即効性は期待出来ません。


④抗コリン薬:副交感神経を興奮させて鼻水を止める薬です。鼻水には効果的ですが、くしゃみ、鼻詰まりには効果は期待出来ません。通常、花粉症では噴霧薬が用いられます。効果は早く現れます。商品名としてアトロベント、フルブロン等の薬があります。又緑内障や前立腺肥大症の方には原則として使用出来ません。


⑤血管収縮薬:交感神経に作用して鼻粘膜の血管を収縮させる薬です。粘膜の充血や、腫れを取り、鼻詰まりの症状を改善します。即効性のある薬で市販薬にも含まれる成分です。使い過ぎると逆に鼻詰まりが酷くなったりします。長期間の使用は避けて下さい。プリビナ点鼻液等の薬があります。