2025年問題と今後の医療の在り方について
健康寿命を延ばす予防医療との関わり
2020年に東京で平和の祭典であるオリンピックが開催されます。そのオリンピック開催後の5年後、2025年には日本の高齢化人口、後期高齢者人口がピークを迎えると言われています。団塊の世代の方が75歳を迎えるにはあと8年後となるわけです。待ったなしとなりました。
2025年になると どのような社会や医療情勢となるのか?想像がつきますでしょうか?
日本は諸外国に比較してここ25年の間に急速に高齢化が進みました。低い出生率と高齢化のスピードが進行して年金等厳しい社会保障費負担の社会到来が予想されています。国立社会保障・人口問題研究所によれば、日本の人口は 2007年をピークに減少をはじめ、2025年には約1億2,114万人 2050年には約1億59万人になると予測されています。(☆「団塊の世代/1947~1949年生まれ」)
「2025年問題」・・・高齢化の率が増大して介護や福祉分野の需要はますます増え 医療費などの社会保障費が急膨張するなか、医療・介護の サービス体制の抜本的な見直しが必要とされています。保険料の負担増、給付率低減、サービスの制限、医療保険の制約等
平成27年(2015年)に「ベビーブーム世代」が前期高齢者(65~74歳)に到達し、8年後の平成37年(2025年)高齢者人口は、約3,500万人(人口比約30%)に達すると推計されています。
それに向けて、国や都道府県、医療・介護の分野では何が始まっているのでしょうか。これは、医療・介護の分野にとっては重大な問題。人口構造が異なれば、必要とされる医療機能も変わってきます。そして、高齢者が増えればとりわけ、医療と介護が切れ目なく提供できる体制が欠かせません。そこで、医療・介護の分野では8年後を“2025年問題”と称して、急ピッチでさまざまな検討、準備が進められています。高齢者が増えるということは、認知症をはじめ、複数の病気を抱えた患者の数も増えるということです。
そのため、これまでのように手術件数や専門医を念頭に医療機関を選ぶのとは異なる、医療機関選びの視点が必要になってきます。また、病状に応じて適切な機能を担う医療機関に転院することも当たり前になります。最期まで自宅で暮らしたいと希望するニーズを満たすには、在宅医療の充実も欠かせません。このような問題が8年後という“目前”に迫っているのですが、世間一般ではまだまだ実感が湧かないというのが正直なところでしょう。でも、2025年まで「8年もある」ではなく「あと8年しかない」のです。
1961年にGHQの指導で国民皆保険制度が創設され、厚生労働省は2年に一度 診療報酬改定を行い、さまざまな医療提供体制を見直して現在に至っていますが 2025年度における社会保障給付費の総額は「144兆円」に達する見込みです。それまでに医療や介護の制度改革がどんどん進んでいくでしょう。 この医療計画に介護保険事業計画が加わることで、医師・看護師などをはじめとした医療従事者と福祉・介護関連業務の従事者等による多職種連携(情報の分割を統一)が構築されれば、患者の症状に対応した適切な医療を効率的に提供することができます。ただし、この連携システムづくりのモデル事業はあるものの、地域性によって形態が異なるためあくまでもそれぞれの地域で自主的なシステムを構築していかなければならないようです。このシステムを「地域包括ケア」システムと呼ばれています。このシステムは、介護を必要とする高齢者が住み慣れた自宅や地域で暮らせる体制を構築するために、医療機関と都道府県が協議をして自主的に取り組み、「住まい」「医療」「介護」「予防」「生活支援」をバランスよく提供していく仕組みのことです。このシステムが順調に機能するように地域の薬局も他職種連携の一員として参加していく必要があります。
高齢者は薬の副作用が出やすく出来るだけ薬の種類が軽減できるように薬局薬剤師は積極的に関わっていかなくてはいけません。数年前から薬学生も6年生となり従来の教育内容に加えて臨床経験や現場サイドの研修も充実しこれから地域で取り組まれる先程のシステムに参加して行き薬物治療に関して専門性を発揮すると同時に、地域では予防衛生や健康寿命を延ばす健康づくりに関して食や運動、睡眠等の生活習慣に係る身近な相談役として関わっていくことも国が進めるセルフメディケーションの推進の一翼を担うこととなるでしょう。学校現場での薬教育への助言など将にセルフメディケーションとの関わりの強い啓発活動となるでしょう。身近な薬局、薬剤師も2025年に向けて課題が山積しています。大変な時代となることには間違いありません。 |